シャッターは、建物の防犯や安全を支える設備として広く使われていますが、その構造や仕組みを詳しく知る機会は少ないかもしれません。しかし、日々の使用で不具合が起きたとき、各部品の役割を理解していれば、早期発見や適切な対応にもつながります。
本記事では、手動・電動それぞれのシャッターの基本構造を、使われている部品の名称やその役割を中心にわかりやすく解説します。あわせてよくある故障やトラブルの原因も紹介するので、快適な使用のための基礎知識としてご活用ください。
目次
手動シャッターの基本構造|各部名称と役割
手動シャッターは複数の部品が連携して動作しており、それぞれに明確な役割があります。構造や仕組みを理解しておくことで、トラブルが起きた際にも適切な対応ができ、長期間の使用にもつながります。
スラット
スラットは、外部からの視線や侵入を防ぐと同時に、遮音・断熱などの効果を持つシャッターの本体部分です。細長い板が連結されることで、巻き取りがしやすい形状となっています。
主に材質には、使用環境に応じて軽量なアルミや高耐久なスチールが使用されることが多くなっています。シャッターの開閉時のスラットの動きに重さを感じる場合は、変形やサビなどの劣化が考えられるため、早めに点検を行いましょう。
吊元
吊元は、スラットとスプリングをつなぎ、スラットを巻き取る際の安定した動作を支える中間部品です。この部品の精度や強度が低いと、スラットの巻き上げ・引き下ろしがスムーズに行われず、開閉時に偏りや引っかかりが生じる原因になります。
耐久性のある吊元が使用されていれば、シャッター全体の操作性が向上し、長期的な使用にも対応できます。そのため、設置する際には正確な位置調整が必要です。
シャフト
シャフトは、スラットを巻き取る中心軸として機能するシャッターの心臓となる部品です。操作時にはこのシャフトの滑らかな回転により、スラットが上下に動きます。
シャフトの直径や材質はシャッターのサイズや重量に応じて決定され、設計が適切でない場合はたわみや巻き取り不良が起こりやすくなります。こういったことから、シャフトの高精度な加工と確実な取り付けがスムーズな動作を支えるために欠かせません。
バネ(スプリング)
バネ(スプリング)は、シャッターの開閉操作を軽くするための補助機構としてはたらく部品です。巻き取りの際に必要な力を分散し、手動での操作でも無理なくスムーズな昇降を可能とします。
バネの適切な張力が保たれていれば、シャッターの位置が安定します。しかし、劣化が進むと、重さを感じる・途中で止まるなどの不具合が出るため、定期的に点検と交換を実施しましょう。
プーリー
プーリーは滑車のような役割を持ち、シャッターのスラットをスムーズに巻き上げ・巻き下ろすために必要な部品です。動作中は常に回転し、スラットの位置や動きを正確に導きます。
プーリーに摩耗や歪みがあると、巻き上げ時の引っかかりや異音の原因になることがあります。メンテナンスではプーリーの滑らかさや取付け状態の確認がポイントです。
軸受
軸受は、シャフトの両端を支える部品で、シャフトの円滑な回転を可能にするための要所です。高精度な軸受が使われていると、シャッターの動きが静かでスムーズになりますが、摩耗や潤滑不良があると、異音が発生したり、巻き上げに支障が出たりするケースがあります。
軸受けの寿命を少しでも伸ばしたい場合は、耐久性の高い素材や適切なグリスの使用・定期的な点検を心掛けましょう。
ブラケット
ブラケットは、シャフトやスプリング・軸受などの構成部品を固定し、シャッター全体を安定させる金具です。この部品がしっかりと取り付けられていなければ、シャッターの動作に揺れや振動が生じ、耐久性や安全性にも悪影響を与えます。
特に大型シャッターでは、ブラケットの強度がシャッター全体の信頼性を大きく左右するため、設置する際は正確な位置調整と締め付けに注意しましょう。
シャッターケース
シャッターケースは、巻き上げたスラットを収納する箱型のカバーで、外部からの風雨やホコリから内部構造を保護します。見た目にも関わる部分のため、デザイン性と機能性の両立がポイントです。
また、ケースのサイズや形状が不適切だと、スラットが内部に収まらず、詰まりや変形の原因になる場合もあります。日常の清掃や点検によって、美観と性能どちらも維持しましょう。
ガイドレール
ガイドレールは、シャッターの上下の動きを安定して導くためにスラットの両端に設置されたレールです。このレールが正確に設置されていないと、スラットの開閉時に摩擦や引っかかりが発生し、スムーズに動かなくなります。
また、素材や厚みによっても耐久性や操作性が変わってきます。ホコリやゴミの詰まりによって動作不良が起こることもあるため、定期的な清掃が大切です。
水切り(座板)
水切り(座板)は、シャッターを完全に閉めた際に地面と接する最下部にあたる部品で、雨水やホコリの侵入を防ぐ役割を果たします。また、衝撃を吸収したり、閉めるときの音を軽減したりする効果もある、密閉性や静音性にもかかわる大事な部品です。
摩耗や破損があると隙間ができ、性能が低下します。設置環境に応じた材質選びと、定期的な交換・点検が求められる箇所です。
内外錠
内外錠は、シャッターを完全に閉じた後に施錠し、不正な開放を防ぐための鍵です。内側と外側の両方から操作できるタイプが多いため、防犯性だけでなく使いやすさとの両立が求められます。
錠前が劣化していたり、かかりが悪くなったりしていると、安全性が大きく損なわれるため、定期的な動作確認とメンテナンスが不可欠です。交換の際には、防犯性の高い製品を選びましょう。
中柱
中柱は、2連式や大型の開口部に使用されるシャッターで、中央に設置される柱状の部品です。2枚のシャッターを中央で密着させ、強度と耐風性を確保します。
取り外し可能なタイプであれば、荷物の搬入などにも柔軟に対応できるため利点がありますが、設置が不十分な場合は強度が不足し、ガタつきやズレの原因になります。そのため、使用頻度に応じた適切な選定と調整が必要です。
電動シャッターの基本構造|各部名称と役割
電動シャッターは、モーターの駆動力によってスムーズに開閉する構造です。自動で動くため操作性に優れており、家庭用から業務用まで幅広く利用されています。一部の構造は手動シャッターと共通するものの、電動特有のパーツも多く、それぞれが連動して機能しています。
モーター(駆動装置)
電動シャッターの開閉を担う心臓部がモーター(駆動装置)です。電源を通じて動力を生み出し、シャフトを回転させてスラットを動かします。一定の出力とトルクを持つ設計がされており、モーターがあることで重量のある大型シャッターでも安定して動作します。
しかし、耐久性が求められるため、使用頻度に応じた選定が必要です。モーターの正常な作動は、日々のシャッターのスムーズな開閉に欠かせません。
ローラーチェーン
ローラーチェーンは、モーターの動きをシャフトに伝達する連結部品です。ギアと連動してスムーズに動く設計で、耐荷重性に優れています。歯車としっかり噛み合うことで、力を効率よく伝え、シャッターの開閉に安定感をもたらします。定期的な点検と潤滑が施されている状態を維持できている場合、長期間トラブルなく使用可能です。
リミットスイッチ
電動シャッターが適切な位置で確実に停止するためには、リミットスイッチの働きが欠かせません。この部品は、シャッターの開閉における上限と下限の位置を検知し、制御装置へ停止信号を送る役割を担っています。
たとえば、シャッターが完全に閉じても動作が止まらない、途中で停止してしまうといった不具合は、リミットスイッチの故障によるものです。リミットスイッチが正常であれば、シャッターは設定された範囲内で安全かつスムーズに動作します。
安全装置(障害物検知センサー)
電動シャッターの安全性を高めるために、障害物検知センサーは非常に重要な役割を果たします。異物を挟んだ際にはシャッターの動作を即座に停止させ、事故や破損を未然に防ぐ仕組みです。
受光部には電池が使われており、シャッターが上がるのに下がらないというトラブルは、電池切れによるものが多く見られます。定期的な電池交換によって、センサーの機能を安定して保つことができます。
まぐさ
まぐさは、シャッターを設置する開口部の最上部にあたる構造部分です。シャッターケースやガイドレールをしっかりと支えるために用いられ、強度と安定性に大きく関わります。建物の形状やシャッターの種類によって形状や素材が異なるものの、シャッターの稼働に欠かせない基礎となります。
よくあるシャッターのトラブルと故障の原因
シャッターは日常的に使用する設備だからこそ、故障や不具合が起こりやすい場面があります。定期的な点検や適切なメンテナンスを行わなければ、突然動かなくなるリスクも高まります。
各部品の歪みや変形
シャッターがスムーズに動かない原因の1つが、部品の歪みや変形です。日々の開閉によって負荷が蓄積されると、スラットやガイドレールなどに少しずつ変形が生じます。ぶつけたり、強風を受けたりした後に起きやすく、巻き上げ時の異音や引っかかりが発生します。部品のわずかな歪みでも全体の動作に影響が出るため、早期の発見と対処が欠かせません。
ガイドレールの汚れ・詰まり
ガイドレール内のほこりや砂・落ち葉などの蓄積は、スラットのスムーズな通過を妨げるため、引っかかりや異音などシャッタートラブルを引き起こす原因の1つです。掃除が行き届いていない場所では詰まりやすく、開閉動作に強い負荷がかかります。ガイドレールを清潔に保つことで、全体の動きが改善され、トラブルの予防にもつながります。
シャフトやバネの劣化
シャフトやバネの摩耗・劣化も、シャッターが重く感じたり、途中で止まったりする原因です。経年劣化によってバネの弾力が低下すると、巻き取り動作に支障が出てきます。
そのため、頻繁に使用される環境では消耗が早く、異音やガタつきが目立ちやすい傾向があります。スムーズな動きを維持するには、部品の摩耗具合を定期的にチェックし、必要に応じて交換しましょう。
モーターの過熱や出力低下
モーターの不調は、電動シャッターの動作全体に直結する大きな要素です。連続使用による過熱や経年劣化による出力の低下によって、開閉が途中で止まる・動きが遅くなるなどの症状が現れます。特に夏場など高温環境ではモーターの温度が上がりやすく、故障リスクも高まります。異常を感じた際は早めに点検し、必要に応じてモーターの交換を行いましょう。
制御装置や障害物検知センサーの不具合
シャッターの自動停止や安全機能が正しく動かない場合、制御装置やセンサーの不具合が原因と考えられます。信号の誤作動や断線などにより、停止位置を誤ったり、障害物を検知できなくなったりする症状が起こります。誤作動が続くと、巻き込み事故やシャッターの破損などさらに悪化するケースもあるため、制御機器や配線は定期的な点検が欠かせません。
シャッターの構造に詳しくなくても大丈夫!異変を感じたらプロにご相談を
シャッターは多くの部品が連携して機能しているため、スムーズな開閉を維持するには、構造を把握したうえで、定期的な点検と適切な整備が欠かせません。また、それぞれの役割を理解しておくと、部品の摩耗や不具合・故障などトラブルへの対応もしやすくなります。
日本シャッターメンテナンスは、シャッターの構造に詳しくない方でも安心して修理交換を依頼していただけます。ご訪問・見積もりは無料で対応しているので、少しでも異変を感じたら、お気軽にお問い合わせください。